「わ、ヒョク、雨だ!」
ぴょんぴょんと効果音がつきそうな勢いで外に飛び出たドンへは、
俺の手を引いてどしゃぶりの中に飛び込む。
外の雨は真っ直ぐに、大粒を乱しながら降り注いでいる。
キリも隙間もなく降り頻るから、目の前の視界が灰色で歪んでいる。
空を見上げようとも、体に打ち付ける雨のせいで顔をあげられない。そんな、大雨だ。
「ひょく、ひょく!久しぶりの雨だよ、ひょく!」
「わ、ちょ、ドンへ!濡れる!冷たい!!」
楽しそうに笑いながら、ドンへは体全身で雨を浴びる。
もう既にドンへの明るい茶髪が光る髪の毛はじっとりと濡れていて、
スエット一枚で駆け出してきたから、柔らかい布地が肌に染みついている。
ドンへは愛に飢えていたらしい。
毎日のように好きでもない、知りもしない女を抱いて、時には男に抱かれて。
だから、ドンへが俺を求めるのは仕方がない。
俺だって愛が欲しかった。誰かに、心から愛されたかった。
俺は今、ドンへに愛されている。酷く強く愛されている。
それでいい。俺は、ドンへの愛しかいらない。
ドンへだって言う。ヒョクの愛しかいらない、ヒョクしか愛したくない。
俺だって一緒なのに、どうして俺はドンへみたいに返せないんだろう。
「わ、わ、ヒョク見て!ここ、すっごい水溜り!」
「ったく…あ、おい!入ったらダメだって!!」
「うわあッ!びしょびしょ!ひょく、冷たーい!」
「な、ドンへ!風邪ひくってば!」
深い水溜りに両足から飛び込んだドンへは、びしゃりと尻から座り込んで
全身雨水だらけになる。
呆れながら見つめていると、満面の笑みで笑っていたドンへが、
不意にじっと、俺の目を見つめてきた。
「…ヒョク、」
「ん?」
「……おいで」
ドンへは俺を見つめたまま、びしゃびしゃになった腕を広げる。
こういう時のドンへは何を考えているかが分からない。
でも必ず、俺の心を見透かしている。きっと、今も。
俺は愛が欲しかった。
俺だけを見つめて、俺じゃなきゃダメで、一日も生きられないような愛され方をしたかった。
そして、その願いは、ドンへによって叶えられた。
ドンへは俺なしじゃ生きていけない。ドンへは俺に依存している。
俺とドンへ。周りのみんなが見ているような輝く世界とは違う、二人だけの世界で、
俺たちは生きている。生きていく。
何もいらない。あの世界には戻りたくない。
ドンへと二人きりなら、何もなくなって生きていける。
愛されて、愛されて、殴られて、泣かされて。
神様が見たら、笑うんだろう。それのどこが愛なんだ、と。
それでも愛なんだ。神様が敵でも、俺は一人じゃない。
「……一緒に溶けようよ、ヒョク…」
両腕を広げたまま俺を見つめて、ドンへはふわりと微笑む。
雨に紛れて零れた涙に、ドンへは気づいただろうか。
Love does not melt together with rain.
〝雨と一緒に愛が溶けないように〟
真っ白な世界に、二人ぼっち。
ぴょんぴょんと効果音がつきそうな勢いで外に飛び出たドンへは、
俺の手を引いてどしゃぶりの中に飛び込む。
外の雨は真っ直ぐに、大粒を乱しながら降り注いでいる。
キリも隙間もなく降り頻るから、目の前の視界が灰色で歪んでいる。
空を見上げようとも、体に打ち付ける雨のせいで顔をあげられない。そんな、大雨だ。
「ひょく、ひょく!久しぶりの雨だよ、ひょく!」
「わ、ちょ、ドンへ!濡れる!冷たい!!」
楽しそうに笑いながら、ドンへは体全身で雨を浴びる。
もう既にドンへの明るい茶髪が光る髪の毛はじっとりと濡れていて、
スエット一枚で駆け出してきたから、柔らかい布地が肌に染みついている。
ドンへは愛に飢えていたらしい。
毎日のように好きでもない、知りもしない女を抱いて、時には男に抱かれて。
だから、ドンへが俺を求めるのは仕方がない。
俺だって愛が欲しかった。誰かに、心から愛されたかった。
俺は今、ドンへに愛されている。酷く強く愛されている。
それでいい。俺は、ドンへの愛しかいらない。
ドンへだって言う。ヒョクの愛しかいらない、ヒョクしか愛したくない。
俺だって一緒なのに、どうして俺はドンへみたいに返せないんだろう。
「わ、わ、ヒョク見て!ここ、すっごい水溜り!」
「ったく…あ、おい!入ったらダメだって!!」
「うわあッ!びしょびしょ!ひょく、冷たーい!」
「な、ドンへ!風邪ひくってば!」
深い水溜りに両足から飛び込んだドンへは、びしゃりと尻から座り込んで
全身雨水だらけになる。
呆れながら見つめていると、満面の笑みで笑っていたドンへが、
不意にじっと、俺の目を見つめてきた。
「…ヒョク、」
「ん?」
「……おいで」
ドンへは俺を見つめたまま、びしゃびしゃになった腕を広げる。
こういう時のドンへは何を考えているかが分からない。
でも必ず、俺の心を見透かしている。きっと、今も。
俺は愛が欲しかった。
俺だけを見つめて、俺じゃなきゃダメで、一日も生きられないような愛され方をしたかった。
そして、その願いは、ドンへによって叶えられた。
ドンへは俺なしじゃ生きていけない。ドンへは俺に依存している。
俺とドンへ。周りのみんなが見ているような輝く世界とは違う、二人だけの世界で、
俺たちは生きている。生きていく。
何もいらない。あの世界には戻りたくない。
ドンへと二人きりなら、何もなくなって生きていける。
愛されて、愛されて、殴られて、泣かされて。
神様が見たら、笑うんだろう。それのどこが愛なんだ、と。
それでも愛なんだ。神様が敵でも、俺は一人じゃない。
「……一緒に溶けようよ、ヒョク…」
両腕を広げたまま俺を見つめて、ドンへはふわりと微笑む。
雨に紛れて零れた涙に、ドンへは気づいただろうか。
Love does not melt together with rain.
〝雨と一緒に愛が溶けないように〟
真っ白な世界に、二人ぼっち。
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